1 成年後見人を相談員として顧問にする
成年後見人顧問は、超高齢化を向かる会社経営で社員の精神障害ケアの法務顧問の位置づけです。認知症を含む精神障がい者の「排除」から「共存」への人事政策の転換が企業イメージを高めます。社員の家庭での介護能力の補強支援にも成年後見人の相談員を顧問にする時代が近づいています。ご一緒に検討しませんか?
2 時代背景
平成12年4月1日「介護保険制度」の大改正がありました。介護サービスは、国の「措置」から、介護保険利用者の「契約」へと変貌しました。
精神障害者の経済取引の安定や家の財産の保全を目的とした「禁治産者・準禁治産者」制度は廃止されました。
精神障がい者との共生をめざす「ノーマリゼ―ション」、本人の残存能力の活用、自己決定権の尊重と云った理念が、国の社会福祉政策に導入されています。成年後見人制度は、その理念を基本にしています。
ここでの成年後見人制度のポイントは「心神喪失者の身上監護と財産保全」です。
社会的に知的障害者等の「判断能力が不十分な人」の保護が必要になってきました。核家族化で家庭の介護力も低下しています。地域社会での支援体制も必要になってきています。
3 成年後見人の職務
心身症患者の病気対応は精神科の医師の仕事です。成年後見人は患者の法的な領域のケアを職域としています。
法務ケアを行う成年後見人の職務領域のポイントは2つ。民法第858条「身上監護」と民法第859条第1項「財産管理」の2つです。
成年後見人は弁護士・司法書士・社会福祉士・税理士・行政書士等が、各々の士業組織を通じて家庭裁判所に名簿登録して、「業」として行っています。成年後見人制度は始まったばかり。研修程度はその士業組織によりまちまちです。
しかし10年後を見通すと爆発的な高齢者の認知症等の心身症患者の発生します。とても有資格者を家裁登録した成年後見人登録者では対応出来ません。そこで市町村は、それら専門職の成年後見人の支援を頼りに、一般人の希望者に講習をして「市民後見人」を任命する制度を予定しています。老人福祉法第32条「市民後見人」の認知症高齢者の支援モデルです。
そのような「高齢者認知症」等の心身症患者の激増が予想される社会では、社員の「排除」は社会的非難を浴びますし多分禁止されます。排除ではなく「共生」社会は既に世界の潮流です。人事コストは上昇しても、企業の社会責任として、そうせざるを得ません。
まず企業が「成年後見人」を法務顧問に加えて、社員の心身症相談に応じる体制を採り、また早めに幹部社員の研修体制つくりを試みませんか?
4 おわりに
2025年には国全体で700万人の高齢認知症患者を予測する公的な相談窓口は「地域包括支援センター」です。早晩その対応はパンクすると思います。
余談ですが、この高齢者認知症対策には、ビジネスとして高い倫理性が求められますが、新時代の高度な倫理観を持った経営者であれば、大きなビジネスチャンスが存在しますね(笑)。